2005年
7月号

  7月21日に本年度、第3回の執行会議が開催されました。執行会議は毎月1回おこなわれることになっていますが、議題がわずかしかなかったために、6月の執行会議は開催されませんでした。

  7月21日の執行会議では、予算の執行状況についての報告とともに、5月の執行会議ではまだどのような目的のために使えるか未定であった間接経費が、21世紀COEプログラムのために使えるようになったことが報告されました。

  つづいて21世紀COEプログラムで出版を助成したベトナムの海生植物183種を掲載したThe Common Marine Plants of Southern Vietnamと題する図鑑の完成が報告されました。ベトナムではリゾート開発や道路建設などにより沿岸環境が悪化しています。しかし、生物の多様性の保全や環境アセスメントをおこなうのに必要な海洋生物に関する基礎資料が非常に不足しています。本書の第一著者の筒井功氏は、ASAFASに提出した博士論文の研究成果を調査地に還元することで、こうした現状を少しでも改善するために本書の出版を計画しました。そのため、本書は英語とベトナム語の両方で書かれています。その他にも本書には、フィールドワークで活用されるための、たくさんのユニークな工夫がなされています。本書は日本海藻協会
http://www.h4.dion.ne.jp/~jsaweb/bookinfo/tutui_zukann.htm)もしくは海藻研究所(担当:新井章吾 shogo.arainifty.com)から購入することができます(定価1,800円+送料)。 われわれは、今後ともこうした出版物による研究成果の調査地への還元に努力してゆく所存です。

  また、今年の11月23〜24日にタイのバンコクで開催される国際シンポジウム「地球・地域・人間の共生―フィールド・サイエンスの地平から―」(Coexistence with Nature in a ‘Glocalizing’ World: Field Science Perspectives)について、平松実行委員長から19名のスピーカーと発表題名、議長およびコメンテーターを含むプログラムが配布され、それにもとづいて準備状況についての説明がありました。シンポジウム開催まであと4ヶ月を残すところとなりましたが、準備は順調に進んでいます。

  議題としては、平成17年度後期のフィード・ステーション等への派遣院生の募集が付議され、申請の締め切りは9月20日、派遣者の決定は10月20日とすることなどが決定されました。そして、執行会議が開催された日の午後、募集要項と申請用紙を添付したEメールにより募集の開始がASAFASの院生に通知されました。

  最終年度の国際シンポジウムについては、執行会議に先立ち、6月2日と7月4日にワーキング・グループの会議が開催されていました。執行会議では、そこでの議論にもとづき、研究成果等推進部会長の小杉教授から、このシンポジウムの大枠に関する原案が提示され、議論が交わされました。そして、「総合的地域研究の発展と課題―地球・地域・人間の共生をめざして」(Developments and Prospects of Integrated Area Studies: In the Path of Human-Nature Coexistence in a Glocalizing World)をテーマとし、2006年11月11〜12日に、京都大学百周年時計台記念館で開催すること、シンポジウムは4つのセッションから構成し、そのそれぞれをオンサイト・エデュケーション、文理融合、地域間比較、地域情報学と関連づけること等が合意されました。今後は若手研究者を中心とする実行委員会を立ち上げて、具体的な細部に関する計画を練り上げていくことになります。(文責=杉島)

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