:: 平成16年度 フィールド・ステーション年次報告
ラオス
  (1)フィールド・ステーションの整備:
    ラオス国立大学林学部研究棟の1階に部屋を借り受けて、コンピューター1セットと作業机、本棚、標本棚を置き、現地に派遣される教員・学生が活用しています。この連絡事務所には2004年度から増原善之さんがCOE研究員(若手研究者)として常駐しています。フィールド・ステーションの活動にも欠かせないハーバリウム(植物標本室)の整備支援もはじめました(増原報告参照)。
2004年度のラオスFSに関する教員派遣は、安藤和雄(東南アジア研究所:2004年11月10日-12月21日、2005年2月6日-3月3日)、岩田明久(ASAFAS:2005年2月6日-2月13日)、竹田晋也(ASAFAS:2005年2月6日-2月13日)の3名でした。
ラオスFSは、アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア研究所のみならず、人間・環境学研究科、文学研究科、農学研究科、霊長類研究所などの教員・院生の研究拠点として全学的に活用されています。
 
   
  (2)大学院生の派遣とオンサイト・エデュケイションの成果:
   

 学生派遣: 2004年度に当プログラムの資金によってラオスFSに派遣した学生は、Soulaphone Inthavong(2004年8月4日-9月28日)、Achakorn Wongreedee(2005年2月2日-3月29日)の2名でした。
 これまでに、ラオスFSを活用し、臨地教育支援をおこなった大学院生および研究テーマは、以下のとおりです。

  • 小坂康之(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)「サバナケート県における農業・土地利用システムと二次植生の遷移」
  • 黒田洋輔(同上)「ラオスの野生イネの自生地保全に関する研究」
  • Thatheva Saphangthong(同上)「Land use systems in the Northern Laos」
  • Anoulom Vilayphone(同上)「Valuation of non-timber forest products and forest management practices of Kham people」
  • Souksompong Prixar(同上)「Village forest management after land and forest allocation in Laos」
  • Soulaphone Inthavong(同上)「Study of Agricultural Technology Dissemination and Impacts on Traditional Farming in Laos」
  • 松浦美樹(同上)「ラオス北部における森林資源の希少化への住民の対応」
  • 山本麻紀子(同上)「メコン河流域開発における調整メカニズムの可能性」
  • 吉田香世子(同上)「ルー族研究」
  • 広田勲(京都大学大学院農学研究科)「ラオス北部における焼畑耕作システム」
  • 中辻享(京都大学大学院文学研究科)「ラオス焼畑村における土地利用」
 
   
  (3)現地研究機関との共同研究の状況
    現在のところ、南部サバナケート県の農地・森林における植生調査(小坂、サイサナ)、同県の魚類相と漁労に関する調査(岩田)、同県の在来農法に関する調査(安藤・スラポン)、北部ルアンナムター県の非木材林産物交易の調査(アヌロム、竹田)が進行中です。またランサーン王国行政文書群の調査(増原)も始まりました。現時点では、ラオス国立大学林学部・農学部との共同研究が中心ですが、今後は同大学の他学部や、農林省・情報文化省等の研究所などと積極的に連携することを考えています。  
   
  (4) セミナー、ワークショップなどの実施状況
    2005年2月9-10日にはサワナケートで、“Workshop on Local Knowledge and Its Potential Role for Sustainable Agro-Based Development in Lao PDR”を開催しました。地元密着型(使用言語はラオス語)のワークショップで、二日間とも参加者は60名を超え、予想を上回る盛会となりました(増原報告参照)
ワークショップには、アフリカ地域研究専攻の白石壮一郎さん(平成10年度入学)と黒崎龍悟さん(平成12年度入学)も参加し、アフリカとラオスの「地域間比較」も議論しました。ワークショップの後には、サワナケート県内でスタディ・ツアーを開催しました(白石さん・黒崎さんの報告参照)。
 
   
   

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