:: 平成17年度 フィールド・ステーション年次報告
マレーシア
  (1)フィールド・ステーションの利用:
    ASAFAS大学院生の加藤優子(平成12年度入学:地域進化論)、内藤大輔(平成15年度入学:生態環境論)が、研究活動、資料作成のためにフィールドステーションを利用しました。内藤大輔は21世紀COEプログラムによる派遣です。トレンガヌ州における漁民社会の変容について調査をおこなっていた河野元子(平成11年度入学:地域進化論)は、21世紀COEプログラムによる派遣を終了し、2005年度はじめに帰国しました。加藤優子はスランゴル州において、出産慣行と女性の社会的位置づけの変化に関する調査を継続中です。内藤大輔はヌグリ・スンビラン州およびサバ州において政府主導の森林政策の実施と先住民社会の資源利用へのその影響に関する調査をおこなっています。
 
   
  (2)フィールド・ステーションの整備:
    2005年9月3〜10日および2006年3月5〜6日に長津一史がバンギFSに出張し、バンギFSのコンピュータ機器や研究発表用の機材の点検整備をおこないました。同時に、マレーシアのセンサス、経済統計の電子資料を収集しました。  
   
  (3)臨地教育:
    9月3〜10日のあいだ、長津および河野、加藤、内藤は、オランアスリ研究センター(COAC)代表のColin Nicholas氏から、マレーシアのオランアスリ社会における開発と宗教の現状について講義を受けました。同時に、パハン州のオランアスリ集落を訪問し、生業の変遷や出産慣行についての聞き取り調査をおこないました。
同期間中、長津、河野、加藤、内藤は、内藤の調査地であるヌグリ・スンビラン州のオランアスリ集落も訪問し、村落の概況やオランアスリの森林利用について村人から話を聞きました。また長津は、加藤、内藤に対して村落レベルの社会経済基礎データの収集法に関する指導をおこないました。
長津、河野、加藤は、ATMA所長のShamsul教授とともに、マレーシアの宗教法制の展開とその政治的背景について討議をおこないました。
 
   
  (4)フィールド・ステーション研究会:
    9月7日には、バンギFSにおいて研究会を開催しました。マレーシア留学中の2名の日本人大学院生を話者として招き、マレーシアにおける政党政治の展開と、イスラーム主義運動の展開について報告してもらいました。研究会の冒頭では、ATMA所長のShamsul教授から日本人によるマレーシア研究の展開について特別スピーチをしていただきました。マレーシアで短期調査中の日本人研究も多数参加したため、研究会はたいへん盛会でした。研究会については、添付資料1を参照。
3月13日には、マレーシア国民大学の環境・開発研究科(Institute for Environment and Development (LESTARI))との共催で、国際シンポジウム“Indigenous Communities: Voices towards Sustainability”を実施しました。シンポジウムでは、オランアスリ研究の成果報告のほか、オラン・アスリの詩人による詩の朗読もおこなわれました。京都大学からは、長津がサバの先住民社会におけるイスラームの制度化の社会的意味について、内藤が森林保護制度のマレー半島の先住民オラン・アスリ社会への影響について報告しました。日本からは、他に北海道大学文学研究科の祖田亮次氏が、サラワク先住民の社会変容について報告しました。 プログラム等については、添付資料2を参照。
 
    >> 添付資料1(PDF形式)
>> 添付資料2(PDF形式)

>> 平成17年度教員・若手研究者の報告
>> 平成17年度大学院生の報告
平成17年度 フィールド・ステーション年次報告

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