:: 平成15年度 フィールド・ステーション年次報告
タンザニア
  (1)研究活動:
    2003年4月、タンザニア連合共和国の首都ダルエスサラームに民間家屋を借り上げてフィールド・ステーション(TSF)を設置しました。2003年度に当ステーションを利用したASAFAS関係者は、教員5名(掛谷誠、太田至、池野旬、伊谷樹一、荒木美奈子)と院生11名(S. Nindi、長谷川竜生、近藤史、D. Mhando、小川さやか、黒崎龍悟、瀬古紗矢香、加藤太、川西陽一、八塚春名、溝内克之)、計16名でした。以下に、21世紀COE資金による活動を列記します。

  • 2003年7-9月:池野旬、「タンザニアの農村貧困問題に関する臨地調査および臨地教育」、ソコイネ農業大学地域開発センター(SCSRD)が実施している持続的農村開発プロジェクトの対象農村見学。農村貧困削減に関してSCSRD研究者と意見交換。
  • 2003年10月-2004年2月:小川さやか、「タンザニアの地方都市における古着流通史、都市零細商人の商慣行」に関する調査。経済自由化以降の外国製品の輸入量などに関する港での調査。インフォーマルセクター政策史、ムワンザ市の都市計画に関する文献資料収集。
  • 2003年10-12月:近藤史、「タンザニア南部高地における在来農業の展開に関する農業生態学的研究」
  • 2003年11月:伊谷樹一、「フィールド・ステーションの整備と臨地教育」、SCSRDにおいて共同研究の実施を協議。
  • 2003年12月-2004年3月:David Mhando、「Social and economic influence of coffee since colonial period to present: The case of the Matengo society, Tanzania」
  • 2004年2月:長谷川竜生、「タンザニア中央部・ゴゴ社会における農牧複合型生業の経営と戦略の変容」
 
     
    農作業の合間にシコクビエのジュースを飲んで休憩(イリンガ州:近藤)
 
     
    ソルガム畑での除草(ドドマ州:長谷川)
 
   
  (2)フィールド・ステーションの活用:
    タンザニア・フィールド・ステーション(TSF)は、セミナー・ルームや宿泊施設を備えるとともに、通信拠点、データや試料の整理と加工、資料等の保管、プレゼンテーションの準備などに活用されています。
  • 施設
    セミナー・ルーム、書斎(4)、リビング、ガレージ、倉庫、他
  • 備品
    通信機器(電話、衛星電話、携帯電話)、ラップトップ・コンピューター、プリンター、液晶プロジェクター、野外用計測機材一式、デジタル・カメラ、テント、シュラフ、他

当ステーションには守衛が常勤するとともに、民間の警備会社と契約して安全対策を整えています。タンザニアで調査する場合、調査許可、滞在許可を取得するために最低でも2週間はダルエスサラームに滞在する必要があり、そのときの安全な宿泊施設としても有効に利用されています。
ステーションでは、タンザニア在住者、他機関の研究者、ASAFASの派遣学生を交えて、公開セミナーを開催しています。2003年11月に開かれた第一回TFSセミナーでは、ASAFASの学生である瀬古紗矢香(平成13年度入学)と川西陽一(平成14年度入学)がフィールドワークの中間報告をおこない、2004年2月の第二回セミナーでは、同じくASAFASの長谷川竜生(平成11年度入学)が調査の成果を発表しています。多分野の研究者やタンザニアの事情に詳しい方々から多角的な意見を得ることができ、研究を学際的に深化させる機会となっています。また、長期にわたるフィールドワークの途中あるいは最後に発表機会をもつことで、調査を客観的に捉えなおし、研究の方向性を再確認するのに役立っています。発表要旨については、近々ホームページを立ち上げて公開する予定です。
 
   
  (3)共同研究:
    ASAFASとソコイネ農業大学・地域開発センター(SCSRD)は研究協定を締結しており、これまでも密接に交流してきました。これからも地域研究と農村開発を連携しながら共同研究をすすめていくことに合意しています。また、ASAFASの多くの学生は、SCSRDの研究者をカウンターパートとして調査活動をサポートしてもらっており、2003年度には、S. Nindi、D. Mhando、近藤史がSCSRDの定期セミナーで研究計画ならびに経過を報告しています。  
   
  (4)研究業績:
    論文など
  • 池野旬(2003)「タンザニアの貧困削減政策をめぐって」『アジア・アフリカ地域研究』3:224-236。
  • 小川さやか(投稿中)「都市零細商人の経済活動における連帯と生活信条−タンザニア、地方拠点都市ムワンザ市における古着の信用取引を事例に−」『アフリカ研究』
  • 近藤史(2003)「タンザニア南部高地における在来谷地耕作の展開」『アジア・アフリカ地域研究』3:103-139.
口頭発表
  • 伊谷樹一(2003)「タンザニア南部高地における農法の多様化について」日本アフリカ学会第40回学術大会、島根
  • 小川さやか(2003) 「タンザニア地方拠点都市ムワンザにおける古着流通:マリカウリ取引をめぐる商業ネットワークを中心に」 日本アフリカ学会第40回学術大会、島根
  • 長谷川竜生(2003)「農牧複合型社会における富者の現代的役割」日本アフリカ学会第40回学術大会、島根
学位論文
  • 板垣晋(2003)「タンザニア南部山岳地域における斜面地利用― キンガのマスベ農法を事例として ―」(ASAFAS、博士予備論文、2003年7月)
  • Nindi, Stephen J.(2004)「Dynamics of land use systems and environmental management in the Matengo highlands, Tanzania」(ASAFAS、博士論文、2004年3月)
 
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>> 平成15年度教員・若手研究者の報告
>> 平成15年度大学院生の報告
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